山形県第二の空港として1991年に開港。庄内地方(山形県の日本海側)はそれまでとにかく遠かった。東京からだと上越新幹線で新潟に出て特急いなほに乗り換え、ひたすら日本海沿いを北上するコースでほとんど一日がかりの行程を余儀なくされていた。このため庄内空港の開設はこの地域にとって大きな福音となったはずである。

場所は庄内地方の中心都市鶴岡市の中心部から北西へ10kmほど、日本海沿いの砂丘地帯に立地している。空港敷地は鶴岡市と酒田市の市域にまたがっているが、ターミナルビルは酒田市側にある。しかし両市へのアクセスは鶴岡まで25分,酒田へは40分となっている。

鶴岡は閑静な城下町だが作家藤沢周平の出身地であり、代表作『蝉しぐれ』をはじめ数々の作品の舞台となっている「海坂藩」はこの町をモデルにして仮構された町である。藩校であった到道館を訪れれば『蝉しぐれ』の主人公である若き牧文四郎が駆けだして来そうな気配がある。

江戸時代を通じて庄内藩を治めた酒井家十四万石の居城鶴ケ岡城は明治維新により建築物はすべて破却され現在は鶴岡公園として市民に開放されている。2010年公園内に藤沢周平記念館が開館している。

ちなみにこの空港の愛称は「おいしい庄内空港」だが、なにを主張したいのかいまひとつはっきりせず、数ある
奇抜な空港愛称の中でも少し特殊なものと言えよう。